キャリアインタビュー

タイの自動車業界でエンジニアとして働く | 第3回キャリアチェンジインタビュー吉田健人さん

Pocket
LINEで送る

バンコクエンジニアインタビュー第5弾。バンコクの日系自動車業界でソフトウェアエンジニアとして働いている吉田さんにインタビューしました。以前は日本の大手経済メディアでiOSエンジニアとして働いていたという吉田さんが、どのような仕事をしているのかを追っていきたいと思います。

人物紹介: 吉田健人  

早稲田大学大学院 情報理工学研究科卒業後、日本経済新聞社で約3年間iOSエンジニアとして、日経電子版アプリと紙面ビューアアプリの開発に従事。エンジニアとしての市場価値の向上、差別化を図るために海外転職を決意し、2018年からバンコクの自動車業界の会社に転職。エンジニアの組織作り、アプリ開発、CDP (Customer Data Platform) 構築など多種多様な仕事を任され、会社のデジタルトランスフォーメーションに貢献すべく日々奮闘している。

インタビュワー: Ken  

関西学大学商学部を卒業後、野村證券で11年半勤務。エンジニアとは全く接点のないキャリアを送るが、エンジニアの環境整備が日本のスタートアップには必要と考え、自身もプログラミングを学び始める。また、一法人に属し、週5日働くという従来の枠組みから脱却し、働き方の多様性を実現すべくGAOGAOに参画。GAOGAO代表手島的なエンジニア起業家を増やすべく日々バンコクで奮闘中。

ー現在はどんな仕事をされていますか? 日系の自動車関連の会社でテクニカルアドバイザー/ソフトウェアエンジニアをやってます。主に社内のデジタルトランスフォーメーションを進めるためにいろいろと仕事をしています。具体的には、アプリ開発、バックエンドAPI開発、CDP (Customer Data Platform) 構築等なんでもやってます。タイではモバイル端末を持ってる人が爆発的に増えてきていて、マーケティングや顧客分析にWebの知識が必要になっています。 ー社内に吉田さんの他にソフトウェアエンジニアはいますか? 私の観測してる範囲だと一人、PHPでWebアプリケーションを作っている若いタイのエンジニアがいます。他のエンジニアの大多数はインフラエンジニアですね。モバイル開発やクラウド系のサービス開発・運用経験があるエンジニアがいないので、現状は実質私一人でやっています。プロジェクトも方向性も明確になってきたので、ようやく来月頃から若手のエンジニアがJOINする予定です。最初は少人数のスモールスタートで、徐々にチームの規模を大きくしていきたいと思っています。

他のエンジニアと如何に差別化をするか



ー前職では何をやっていましたか? 以前は日本経済新聞社で3年ほどiOSエンジニアをやっていました。具体的には、iOS版の紙面ビューアーアプリと日経電子版アプリをフルスクラッチで開発しました。アプリのデザイン等はUI/UXで有名な深津さんと一緒に仕事させてもらいましたし、インターンの企画・運営などできて、面白かったですね。ホワイトな労働環境で、上司や同僚にも恵まれていたので、良い職場だったと今でも思ってます。 ーそれでも、転職してバンコクに来ると決意したのは、何かキッカケがあったのですが? 日本でエンジニアとして働いていて、「大多数のエンジニアの中に埋もれてしまうのではないか?」という危機感のようなものがありました。エンジニアとしての自分の実力に自信がないわけではありません。しかし、私はプロコンで優秀な賞を取ってたり、優れた研究成果を持っているわけでもありません。世の中には自分より優れた人はたくさんいるわけですし、下からもどんどん新しい人が出てきます。そういった環境に真正面からぶつかって、本当に自分の価値を引き出せるのだろうかいう不安がありました。代替え可能なエンジニアになってしまうと、自分の価値を高く売る事ができないので、「他のエンジニアと如何に差別化をするか」、という事をここ最近ずっと考えていた結果、人にはない経験を求めて、バンコクで働く決意をしました。海外でゼロから立ち上げをして、苦労しながらも組織を改革していく経験は滅多に得られるものではないと思っていますし、必ず自分の価値を高めてくれると確信しています。 ーなかなか、大きな決断だと思います。 そうですね。以前の仕事や生活に不満を持っていたわけではないので、海外で働く事になかなか一歩が踏み出せないという状況でした。そんな時に、バンコクに駐在している大学時代の友人から「アプリ開発をしてほしい」という誘いを受けたのが私を動かすキッカケとなりました。元々バンコクには何回か旅行に行っていて、日本人が暮らすには良い環境であるという事が分かっていたので、生活面やプライベート面に関して言えば不安はありませんでしたね。 ーバンコクと聞くと、日本に比べて給与面で不安を感じる方もいると思います。日本にいた時より給与は下がらなかったのですか? 給与は前職より上がりました。親会社は日系企業でしたし、ヘッドハントを受けるくらいなのであまり不安には思っていませんでした。

バンコクのエンジニアはブルーオーシャン


ーバンコクのエンジニア事情について教えてください 日本から来ているソフトウェアエンジニアはほとんどいません。所謂ブルーオーシャン状態だと思います。タイでの在留邦人は7万人を超えていまし、多くの日本企業がタイに進出していますが、優秀なエンジニアを見つけるのは難しいと思います。私はここに大きなチャンスがあると感じていて、タイでエンジニアとしての仕事を受ける時には独占状態にできるのではないかと考えています。 ー言語で何か不安等はありませんか? 英語に関しては日常会話や簡単なディスカッション程度でしたら問題がないレベルでしたが、ビジネス・ケースで英語を使用した経験はなかったですし、正直TOEICのスコアも海外赴任できる目安に達してるくらいで特別高いわけではありません。タイ語に至っては挨拶しかできなかったですね(笑)。日本人もいますが、従業員のほとんどはタイ人なので、彼らを交えてコミュニケーションを取る時は英語かタイ語です。英語を使っていても、「この人今なんて言ったんだろう」と悩む事はありますし、説明したり、理解するのは本当大変ですね。自分の英語力のなさに苦労してます。お互いにネイティブ言語ではないわけですし、ミーティングではホワイトボードが必須です。

バンコクの居住環境は最高です


ーバンコクで過ごしていて、どうですか? かなり満足しています。私自身数多くの国に行って住んだ事があるわけではないですが、日本人にとってバンコクはものすごく住みやすいです。 ーバンコクで暮らしていて良い点を教えてください タイ料理は安くて美味しいですし、日本食も食べたい時にいつでも食べることができます。日本人は東南アジアを想像すると、田舎っぽい印象を持っていると思いますが、想像しているより、数倍バンコクは都会です。私が日本に住むより最も優位だなと思う点は居住環境ですね。現在私が住んでいるコンドミニアムはジム、プール、ミーティングルーム等が建物の中にあり、高級ホテルかと思うような綺麗さで非常に快適です。価格も1ベットルームの35m^2で19000バーツ(=現時点で65000円程度)で日本人にとって高いわけではないです。後は基本的に家具付きなので、イニシャルコストや引越しの費用がほとんどかかりません。このようなクオリティの高層マンションは日本にはほとんどないと思います。 あとタイ人は日本人に対して友好的であるという点も重要だと思います。タイに来てから冷たい対応を受けたことはありませんし、みんな優しく接してくれています。この点も不安なく過ごせている点の一つですね。

自分の技術や知識を通して世の中に貢献したい



ー将来のどのようなキャリアをイメージしていますか? 難しい質問ですが、選択肢の一つとして、会社のIT戦略やエンジニアの組織作りなどを任せてもらえる立場になりたいと思っています。今の会社にいる事で、デジタルによる業務改革はどの業界でも必要であるという事が分かってきました。コードが書けて、技術に詳しいエンジニアが中にいると、意思決定が簡単になったり、スピード感を持って仕事ができると思っています。私が今の会社にJOINしたことで、同僚から驚くほど早く物事が進んでいると言われました。今は誰もがインターネットにつながっていて、デジタルを無視する事ができる企業はほとんどないと思います。業界問わず、自分の技術や知識を通して世の中に貢献したいなと考えています。 ー最後に何か言いたい事はありますか? 日本のエンジニアはシリコンバレーにばかり目が行きがちですが、東南アジアにも目を向けてほしいなと思っています。バンコクは住みやすいですし、もう少し環境が整えば、日本から来て一緒に働いてくれるエンジニアの採用も考えたいです。 日本のエンジニアの大多数は東京にいると思います。日本語が通じて、ご飯も美味しくて、居心地がいいので、なかなか海外に来るという選択肢に至る人は少ないかもしれません。それでも海外に興味があるという方は、海外で働くエンジニアをフォローしたり、友人や知人が海外で働いているならば話を聞いたりして、機会があれば思い切って日本を出て働いてみるのも面白いですよ。
編集後記 吉田さんはエンジニアとして働いていますが、組織の立ち上げや業務改革等にも注力して活躍されています。ソフトウェアを作る事だけがエンジニアの仕事ではないと考えているようで、今後、仕事の幅を広げていきそうと感じました。
Pocket
LINEで送る