※この記事は、GAOGAOの自社メディア「CREATOR HUB」に2020年9月23日 に公開されたインタビュー記事を転載したものです。
前編後編の2回に分けてお届けしています。
世界で活躍するクリエイターに、海外で働く上でのキャリア論を語っていただく本企画『STORY』。ここでは、一歩先を行く先輩クリエイターのグローバルな挑戦を取り上げ、次のキャリアとして、世界で活躍することを目指す日本人クリエイターを、より多く輩出していくことを目的としています。
今回インタビューさせていただいたのは、シンガポールでフロントエンドエンジニアとして働く、kourinさんです。
実はkourinさん、新卒でシンガポール就職を果たしたという強者。現地のスタートアップ企業で0→1のWebアプリケーション開発を経験されたのち、現在は案件ベースで働かれています。そんな彼がなぜ、どのようにして、シンガポールでエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたのか。
実際に働いて感じていること、今後の展望などを伺いました。20代の若手エンジニアで、将来は海外で働くことを目指している皆さんには、とても刺激になる内容だと思います。ぜひ、ご覧ください。
kourin
大学卒業後、新卒でシンガポールのスタートアップ企業にフロントエンドエンジニアとして就職し、自社アプリの0→1開発に携わる。現在は、案件ベースで海外企業のWeb開発プロジェクトに参加しつつ、今後のキャリアで軸としていきたいブロックチェーン関係の開発案件も請け負う。
―本日はありがとうございます。早速ですが、シンガポールで働かれてどれくらいになりますか?
約2年ですね。
シンガポールに来た当初は、ローカルのスタートアップ企業で働いていました。フロントエンドエンジニアとしてWebアプリケーションの開発に従事していて、具体的には投資家が使う金融アプリを開発していました。高頻度に取引される金融データを元にユーザが必要とする情報を表やグラフとして表示する機能、またニュースを表示する機能、そしてチャット機能などを開発・実装していました。
そして2020年3月に退社し、今は案件ベースでエンジニアとして働いています。
―新卒からシンガポール!珍しい経歴ですよね。特にシンガポールは、アジアの中でも人気の高い国の一つだと思います。kourinさんは、昔から海外で働きたいと思っていたんですか?
実は、そうでもないんです。
海外で働いていると、海外に興味を持ったキッカケについてよく聞かれるんですが、特になくて答えに困ってしまいます。(笑)私自身が帰国子女でも、周りが海外志向があったわけでもなく、しいて言うなら、中学生の時に世界史に興味を持ったのが、世界に興味を持ったキッカケでしょうか。
それからは、学校や自治体が企画している海外研修プログラムなどに参加するようになりました。そうして実際に海外に出ていくうちに、ただ行って異文化を体験するだけでなく、実際に住んでみたいなと思うようになっていましたね。
―そんな中、なぜシンガポールで働こうと思われたのですか?
大きく分けて、理由は3つあります。
1つ目の理由は、シンガポールは生活しやすい環境だと思っていたからです。
まだ学生だった2016年、学校のプログラムに参加して1週間ほど、シンガポールに滞在する機会がありました。現地の学校でシンガポール人の教授の元、英語で講義を受けたり開発をしたりしたのですが、その時の街の印象が良かったんです。
2つ目の理由は、ビザの取得のしやすさです。当時は、新卒の私でも就労ビザが取得しやすそうな国だったんです。
2020年5月にシンガポール人材開発庁によりアップデートがなされ、現在は以前に比べて、ビザ取得にあたって必要となる最低基本月給額が引き上げられたり、求められる最終学歴基準が引き上げられたりしたようですが、当時の基準では、私にとって挑戦しやすい内容となっていました。
ほかのアジアの国では、職務経歴が3年必要だったり、それを証明する書類を求められたりしたので、必然的にシンガポールが第一候補になっていましたね。
最後3つ目の理由は、シンガポールはアジアの中でも金融の中心地で、スタートアップ企業が多いイメージがあったからです。
私は元々、金融業界で働くこと、そしてスタートアップ企業で働くことに興味があったので、その条件を満たすシンガポールを、とても魅力的に思っていました。
ちなみに、金融業界に興味があったのは、ブロックチェーンに関する開発に携わりたいと思っていたからです。学生時代から勉強していて、面白い技術だなと思っていました。
―では、スタートアップ企業で働きたかった理由は何でしょうか?
理由は2つあります。
1つ目の理由は、0→1の開発に携わりたかったからです。新たなサービスをローンチする現場に身を置くことで、サービス内容の企画から実装まで一貫して携わり、自分のエンジニアとしてのスキルを伸ばせると思っていました。そうやって開発に関する幅広いスキルを身に付けることで、エンジニアとしてのキャリアの可能性を広げたかったんです。
2つ目の理由は、1つ目にも関連してくるのですが、幅広いスキルを身に付けることで、将来、開発をリードできる人材になりたいからです。
上記の理由から、私はフロントエンドエンジニアですが、バックエンド部分も知りたいと思っていました。私が働いていたローカルのスタートアップ企業は、私が入社した時にはエンジニアは私含めて2人だけで、その1人いた私の同僚は、バックエンドエンジニアでした。
よって、社内にはバックエンドエンジニアが1人、フロントエンドエンジニアが1人という状況だったので、私はフロントエンド部分を手掛けながら、バックエンド部分についても学べる機会がありました。担当していたフロントエンド部分の開発も初めてのことが多く、調べて実践して、また調べての繰り返しで多忙な毎日でしたが、日々新しいことを知り、出来ることが増えていくのは、純粋に楽しかったですね。
なので、今後もまたスタートアップ企業で働きたいなと思っています。それくらい、私には合っている職場環境でした。
―忙しくも充実した日々を送られていたんですね。それにしても、どのようにしてシンガポールのローカル企業から内定を勝ち取ったのでしょうか?
まずは、LinkedInなどのWebサービス経由でシンガポールの企業を探し、担当者にコンタクトするところから始めました。
6月からWebサービスを使って探し始め、オンライン上で先方にコンタクトしていきました。そして8月にはシンガポールに行くことを決め、現地での面接を4社から取り付けて、面接を受けました。結果、2社から内定をもらって前職の会社に決めた感じですね。
2社ともスタートアップ企業だったので、仕事内容が単純に面白いと思った方を選びました。
それで正解でしたね。先ほどお話ししたように、入社当時、エンジニアは私含めて2人しかいなかったのですが、私が辞める1年半後には、15人くらいのメンバーを雇うまでに成長していました。
加えて、辞める半年前くらいからB2Cとして開発したアプリを公開したり、B2Bでクライアント向けにアプリを卸し始めたりしていて、自分の作ったサービスが世に出ていくところを体験できて、嬉しかったですね。
―在籍期間は1年半ということでしたが、本当に濃い経験をされていますね。でも、ローカル企業ということは、日本人スタッフはkourinさんだけですよね。渡航前は、英語を使って働くことに不安はなかったのでしょうか?
正直、そこまで深く考えていなかったですね。
そもそも、IT業界は英語がスタンダードです。有益な情報や新しい情報は、まず初めに英語で流れてきます。そのため、エンジニアは英語の情報を翻訳して理解する力が必要です。そのような背景もあり、プログラミングを学んでいくうちに英語も自然と学んでいきました。
だから特段、これといった英語学習をしていなかったのが正直なところです。
そんな私が意識したのが、英語を話す、使う環境に身を置くことでした。もう、話さざるを得ない、使わざるを得ない状況に自分を放り込むんです。だからシンガポールに行き、実践の中で英語力も鍛えられました。
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