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特別編!日本人は、実はイギリス人よりも落ち着いている?!日本で働く外国人エンジニアのキャリアストーリー(合同会社WERKS経営・Gabriel J Garciaさん)―後編―

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※この記事は、GAOGAOの自社メディア「CREATOR HUB」にに公開されたインタビュー記事を転載したものです。

この記事は、前編後編の2回に分けてお届けしています。

前編をお読みでない方は、コチラからご覧ください。

デザインの知識と経験があることは、強みになっているんですね。では、実際に日本で働いてみて分かったポジティヴなことは何でしょうか?

大きく分けて、3つあります。

まず1つ目は、全ての物事がスムーズに進むことです。よく聞くと思いますが、電車の遅延が少ないことには、まず驚きました。郵便物も早く、正確に届きますよね。こういったインフラが整備されていることは、すごいことだと思います。

2つ目は、仕事面で信頼できる人、頼れる人が多いことです。

日本人は仕事の納期をきちんと守ってくれるし、こちら側から細かくフォローしなくても、任された仕事は責任をもって進めてくれます。これは、他の国に行くとそうはいきません。驚きましたね。

最後3つ目は、落ち着いている人が多いことですね。

日本人は、職場で言い争うところをあまり見かけませんが、イギリスではしょっちゅうありました。イギリス人は、ちょっと子どもっぽいのかなと思っています。

あと気になるのは、イギリス人の言い争いは仕事に対することではなく、その人に対することになりがちだということです。あなたのそういうところを直したほうがいいなど、仕事を通り越してその人に対して文句を言うことが多いんです。

しかし、日本だと仕事に対する文句はあっても、その人を責めたりけなしたりすることは、とても少ないと感じています。だから、気持ちよく働けているのだと思っています。

―ありがとうございます。それでは、ネガティヴなことについても教えてください。

日本人には、ゆっくりする文化がないということですね。

イギリスでは、休日に友達と遊んだら、その後に友達を家に誘ってホームパーティーをし、のんびり過ごします。でも、日本だと、日時と人数をきちんと決めて、食べログの評価やコメントをよく読んでお店を決めて、予約までしますよね。(笑)

私が日本に来た当初は、年に2回くらいホームパーティーしていましたが、参加者の予定を合わせるのが難しくてやめてしまいました。イギリスだと、開始時間を明確に決めません。そのため、中には1日暇だったからと言って、目安としていた開始時間の3時間前に来る人もいます。(笑)日本ではありませんよね。

日本人はホームパーティーをやるとなると、ちゃんとしなきゃいけないと思いすぎると感じています。イギリスだと、いつもの生活空間のまま人を招くのですが、日本人は、たとえ気心の知れた仲のいい友人を招くにしても、まずは掃除をしてきれいにしようと考えますよね。おもてなしの精神で素晴らしいことだとは思いますが、そこがホームパーティー開催の敷居を高くしているんだと思っています。

―確かに、ホームパーティーが恋しくなりますよね。私は、あのアットホームな雰囲気が大好きですが、日本人では少数派ですね。続いては、今後どのような仕事に挑戦したいと思っているのか教えてください。

今はフロントエンド開発がメインですが、今後はバックエンドやサーバー側の開発スキルをもっと身に付けて、ワンパッケージで案件を請け負えるようになりたいですね。そのためにも、スタッフを増やして会社を大きくしていきたいと思っています。

このコロナ禍において先は見通しづらいのですが、理想としては、3年後にはスタッフを10人くらい雇えていて、綺麗なオフィスもあって、今より自分が手を動かす時間が減っているようにしたいですね。そうすることで新しい技術を学び、会社を成長させていきたいです。

その中で、3Dグラフィックのスキルを活かしたいと思っています。

例えば、今はWebブラウザで3D映像を動かせるようになっているのですが、この技術を活用して何か自社製品が開発できるのではないかと考えています。会社の資金でやるのか、投資家を探すのかは分かりませんが、この分野にポテンシャルを感じています。

―それでは最後に、これから海外で活躍したいと考えている日本人エンジニアに向けて、何かアドバイスを頂ければと思います。

まとめると、求めすぎない方がいいということですね。

どういうことかというと、海外に行ったことのない日本人は、行く国に対して過度に良いイメージを抱いて行くと感じています。でも、そのイメージは、実際と異なることがほとんどなんですよね。

例えば、パリに行った日本人から、思っていたイメージと違って落ち込んだという話をよく聞きます。同じように、エンジニアとして日本からイギリス、シリコンバレーに行った日本人も、抱いていたイメージと違ったと言う人を見かけます。

この先行して抱いていたイメージと違うことも柔軟に受け入れなければ、その土地に長くは住めないし、活躍できないと思っています。

あとは、日本の働き方を他の国の人に求めないことも大事ですね。

日本人は、メールを送って2、3日返信がなくても、読んでくれているはずだと思って放置してしまいます。しかし、読んでいる、返事が来るとは思わない方がいいですね。(笑)

同じオフィスにいるならば、実際に声をかけるのがいいでしょうし、クライアントならば、電話をして催促するのがいいでしょう。

あとは、その時の言い方も大切です。

日本では、言っていることが正しいと、きちんと受け止めてもらえますが、海外ではそうはいきません。なぜなら、海外では言っていることの正しさだけでなく、言っている人のその物事への熱量や本気度合いも見ているからです。

例えば、長い説明をしているときは、伝えたいことを2、3回繰り返すといいと思います。図や表を入れて視覚的に分かりやすくしたり、強調したいところは目を見て話したりするのも効果的です。あとは、身振り手振りで説明するのもいいですね。

海外では、このように正しさだけでなく、本人の熱量を見ることで、その人が信頼できる人かを見極めようとするのです。自分の言葉で語れていない、熱量が感じられないとなると、自分のアイデアに自信がないのかなと思われてしまいます。事実だけでなく、自分の意見もきちんと伝えるようにしてください

最後に、海外でのチームマネジメントについてお話ししたいと思います。日本とは大きく違うことを忘れないでもらえればと思います。

私はアジアの開発チームと働いたことがあるのですが、同じアジアでも日本のようにスムーズに仕事は進みません。なので、日本人だとやりすぎかもと思うくらいのこまめな連絡と確認、定期的な進捗管理は欠かせません

タスクを振り分けて納期を決めただけでは不十分ですね。実際に話しかける、電話するなどして手厚くフォローしましょう。日本の仕事のやり方は、海外では通用しないと肝に銘じておく必要があると思います。

 

編集後記

まず驚いたのは、その流ちょうな日本語でした。独学で習得したとは思えない語彙力に、ただただ感服しました。

そんな語学の勉強と並行して進めてきたのが、3Dグラフィックです。10代と若い頃から実務経験を積み、作品が専門雑誌にも取り上げられるなど、そのスキルは折り紙付きです。

現在は、デザイン視点を生かしたフロントエンドの開発がメインとのことですが、今後はバックエンドやサーバーサイド、さらには3Dグラフィックの技術も織り交ぜていきたいとのこと。いつか、Garciaさんが開発した3D関連プロダクトを使ってみたいです。

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