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一見関係のない業界・職種で得た点の経験が線となり、デザイナーとしての海外キャリアが花開いた(UIUXデザイナー・れいこさん)―前編―

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※この記事は、GAOGAOの自社メディア「CREATOR HUB」に2020年12月9日 に公開されたインタビュー記事を転載したものです。

前編後編の2回に分けてお届けしています。

世界で活躍するクリエイターに、海外で働く上でのキャリア論を語っていただく本企画『STORY』。ここでは、一歩先を行く先輩クリエイターのグローバルな挑戦を取り上げ、次のキャリアとして、世界で活躍することを目指す日本人クリエイターを、より多く輩出していくことを目的としています。

今回は、ベトナムでUIUXデザイナーとして活躍する、れいこさんです。

東京大学でバイオ分野の研究をされたのち、大手保険会社で海外事業に従事されます。その後、大好きな言語分野の仕事に挑戦しようと翻訳業界に進み、その中で出会ったクリエイターらに魅了されて、デザイナーとして活躍されています。様々な業界、職種を経験された彼女だからこそできるデザインについて探りました。

これから海外でデザイナーや翻訳者として活躍したい方には、是非ご覧いただきたい内容となっています。それでは、お楽しみ下さい。

れいこ

東京大学農学部卒業。新卒で大手損害保険会社に入社し、海外市場のM&A調査や商品開発、保険引受業務に2年半従事。その後クリエイティブな世界で自由に働きたいという思いから、2018年後半に映像翻訳家に転身。並行して独学でUI/UXデザインを学び、2019年からはUI/UXデザイナーとして国内外の様々なwebサービスの展開に携わる。現在は東南アジアでフリーランスのUI/UXデザイナー兼映像翻訳家として活動中。デザインと言葉を通じ、世界と日本の架け橋になりたいという思いで日々奮闘している。

―インタビューを受けて頂いてありがとうございます。それでは早速、デザイナーになろうと思ったキッカケからお聞きできればと思います。

私がデザインに興味を持ったのは、社会人になってからです。

大学は東京大学理科二類で農学部に進学しました。全科目の中でもバイオ分野が大好きで、その学びを深めたいと思ったからです。大学では、ショウジョウバエの研究をしていました。でも、仕事としてやりたいかと聞かれると、そうではありませんでした。

バイオ分野は学問分野としてはとても興味がありましたし、今でも好きな分野なのですが、仕事にしようとは思わなかったんです。この時は、まだどんな仕事がしたいのかも分からず、模索していました。

そこで、大学卒業後はあまり悩みすぎて進めないのもなと思い、ご縁があった大手の日系損害保険会社に入社しました。

でも、実際に入ってみると、私には古風な日本の大企業体質が合いませんでした。加えて、当時の同期は450人いたのですが、そのうち女性は私を含めてたった7人しかいなかったんです。入社後すぐから、窮屈さを感じ始めました。ただ、仕事内容は希望の国際業務部に配属していただき、とても面白かったです。

私は、先ほどお話ししたバイオに加えて、言語にもとても興味を持っていました。幼い頃、父の仕事の関係で、アメリカのニューヨークとテキサスに合計5年ほど住んでいたのですが、その時に外交官の娘さんと仲良くなったんです。

何の気なしに「お父さんは、どんな仕事をしているの?」と聞いたら「国と国とを橋渡しする仕事をしているんだよ」と言われて。なんてカッコイイんだと思いましたね。今でも、その時のことは覚えています。

そんなこともあって、幼い頃の夢は国連機関で働くことでした。なので、ずっと海外で働きたいとは思っていたんです。

―会社のカラーと合わず苦労されながらも、業務はやりがいを持っていらしたんですね。具体的に、そこではどのような経験をされたのでしょうか?

最初の会社には2年半ほど在籍したのですが、最初の1年目はアメリカや東南アジアの市場調査を担当しました。

M&A先としてポテンシャルのある投資先を選定することが私の役割でした。やりがいは感じていたのですが、当時はトランプ大統領が当選した年で、毎日夜遅くまで長時間労働していましたね。

そこから、2年目には自社の保険商品について詳しく知りたいと思い、商品部に配属されました。世の中にはどういうリスクが存在するのか、どのような潜在需要があるのかなどを自分なりに考えるのは面白く、より良い商品づくりに没頭しましたね。

ただ、入社当時からの違和感は消えなかったんです。

その違和感とは、会社のカラーと私の価値観との相違でした。会社から女性であることで求められる価値観や型が合わず、どんどん働くことが窮屈になっていきました。会社の歯車となって働いているように感じていて、心の潤いが失われていくことに目を背けられなくなりました。

―そこから転職されて、今度は翻訳業界に飛び込むんですよね。

もっと私らしくのびのびと働きたいと思い、昔から好きだった言語分野の仕事に就こうと考えました。

翻訳の中でも、映画の翻訳を行っていたのですが、私は翻訳を、ただの言語の翻訳だとは思っていません。文化の翻訳だと思っています

例えば、日本映画の肉じゃがが出てくるシーンを英語に翻訳するとします。その時、ただ単に“Nikujyaga”と訳したのでは、日本人にとっての“肉じゃが”の本当の意味が伝わりません。肉じゃがに対する日本人特有の理解を加えたうえでの翻訳が必要になってきます。

この“本質も見る”ことが楽しくて、翻訳の仕事にどんどんのめり込んでいきました。

また、そんな中、たくさんの素晴らしいクリエイターにも出会えました。クリエイティヴな世界にも魅了されていき、私もクリエイティヴな仕事をやっていきたいと思うようになっていましたね。

加えて、当時も仕事はとても楽しかったのですが、出来高制で働いていて、このままだと体がもたないなと感じ始めていた時期でした。クリエイターの多くが成果報酬型でお給料を頂けているのを見て、クリエイティヴだともっとのびのびと働けるのではないかと思うようになっていました。

―そんな時に、UIUXデザインと出会われたんですね。

はい、独学で勉強を開始しました。今はデザインを始めて1年と少しですが、やりながら学んでいったという感じです。

デザイナーになった理由は、一言では言えないのですが、これまで考えてきたことの結果たどり着いたという感覚です。また、日本人で海外で活躍しているデザイナーはまだまだ少ないので、挑戦しがいのある分野だと思ったのも大きいですね。

またちょうど、身近な友達たちが起業しはじめたタイミングで、テック関連のスタートアップ企業の方に会う機会が増えていました。その中で、テック業界は世界に大きく貢献できる業界だと強く思い、彼らの力になりたいと思ったこともあります。

今では、ご縁があって2、3社と業務委託形式でデザイン案件を請けています。

案件内容は海外や外国人が関わるもので、日本で外国人向けにサービスを提供する医療系の会社などでのデザインを担当しています。最近では、日英両方のサイトを作ることが増えてきているので、翻訳業務も一緒に発注いただくことも多いですね。ここが強みになっていると感じています。


後編はコチラ!


 

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