※この記事は、GAOGAOの自社メディア「CREATOR HUB」に2020年12月16日 に公開されたインタビュー記事を転載したものです。
前編後編の2回に分けてお届けしています。
―デザインの仕事をしていて、翻訳と通じるところはありますか?
字幕の翻訳では、事実確認のために深堀調査をするのですが、1分の字幕を訳すのに約2時間はかかります。ここで得た根気強く本質を見る、正しい情報を伝えるという能力、責任感は今のデザインの仕事でも生かされていると思っています。また、私の強みにもなっているとも感じています。
また、翻訳も観る人がいる前提で訳します。どうしたら伝わりやすいか、どうしたら正確に伝わるかを考えて言葉を選ぶのですが、これはUIUXデザインの使う人のことを考えて作る作業と似ていると感じています。頭の使い方が同じなんですね。
今はデザインに注力する時期だと思っているのでデザインが9割、翻訳が1割くらいで仕事を請けています。
―デザインの仕事のやりがいは何でしょうか?
月並みな回答となってしまいますが、お客さんからダイレクトにフィードバックがもらえることでしょうか。また、自分のUI設計次第でアプリのダウンロード数が変わるのも、成果を数字で見られるので分かりやすくて気に入っています。
あとは、若くて優秀な人材と一緒に働けること、フリーランスとして働けることなども挙げられます。これからも日本以外の成長が見込まれる国、また成長しきっているけど優秀な人材が豊富にそろう国などで働きたいですね。そして、フリーで組織に縛られずに働きたいと思っています。
―フリーランスになって良かった点は何でしょうか?
まずは、しがらみがないということですね。社内の根回しなど、そういったものに労力を割かなくてよくなったことは、私にとってストレスフリーです。
加えて、フリーランスは自分を疑っている暇がないので、自分に自信を持たないと!と思うようになり、自分の中にあるネガティヴな声を静める力が身に付きました。
―それでは、海外で働く中で感じたポジティヴな側面を教えていただけますか?
ベトナムには住んでまだ1カ月なので、これまでの海外経験を総合してお話しできればと思います。
私が海外で住む、働くことの良さとして感じているのは、世間で求められるような姿にならなくてもいいことです。誰かや何かに型にはめられることなく、生きたいように生きられる環境があると感じています。自己責任の上での自由が得られると言えるでしょうか。
仕事の面でいえば、PDCAを早く回せるのがいいですね。
日本では何事においても100%を求められますよね。任された案件も、せめて90%の形にならないと提出できない風潮があると思います。でも、海外では、みんな60%とか70%の出来でも提出します。早く提出して改善していくことに重きを置いているからです。私は、この働き方の方が合っていますね。
海外で働きたい方は、こういった日本と海外との働き方の違いを柔軟に受け入れ、アジャストしていくことが求められると思います。
あとは、私は言語が好きなので、今回新しく触れるベトナム語を見聞きするのが楽しいですね。英語においても、ベトナム特有の英語の話し方があって、ベトナム人は末尾の子音を発音しない傾向にあるんです。この違いを知り、理解することも面白いと感じています。
―それでは、今後どのようなデザイナーになりたいと考えていますか?
日本の外で活躍できるデザイナーになりたいと思っています。
デザイナーは世界中で需要は高まっている職種ですが、英語を使いこなしながら活躍できている日本人デザイナーは、まだまだ少ないと感じています。
なので、私は翻訳の仕事で培ってきた英語力、伝える力を活かして、日本に進出したい海外企業の日本サービスのデザイン、また反対に海外に進出したい日本企業の海外サービスのデザインに携わりたいと思っています。
ただ、その一方で、この先もずっとデザイナーとして生きていくのかは悩んでいます。
スタートアップ企業のお客さんと働くうち、またテック関連で起業している夫の周りの方々と話しているうちに、スタートアップ企業やテック業界にはポテンシャルの高い会社がたくさんあることを知り、前にも増して力になりたいという想いが強くなったからです。
デザイナーとして、そんな会社と一生で何社と関われるのか、もっと知りたい、もっと貢献したいという想いが強くなったことから、ベンチャーキャピタリストというキャリアも模索し始めました。
今後は、これまでの経験を活かしてインシュアテックやアグリテック分野に貢献したいと考えています。また、UIUXデザイナーとして得た知見をキャピタリストになっても活かせないかと考えています。
そうすることで、幼い頃、国連機関で働きたいと思っていた理由である“特定の国が優遇されず、すべての人が等しく教育を受けられる、貧困から抜け出して夢を実現できる機会を提供したい”という大きな夢に近づきたいと考えています。それが、テック業界の力を使えばできると信じています。
―ありがとうございます。それでは最後に、これから海外で挑戦したいと考えているデザイナーに向けてアドバイスをお願いします。加えて、英語の勉強法についても教えてください。
海外で働くためには、頭の柔軟性が必要だと思っています。海外では、日本だとこうあるべきだと思っている反応とは、違う反応が返ってくることも多いからです。適応力を身に付けることは、もしかすると語学力を向上させることよりも大切かもしれません。
国によって、人によって、判断基準が違うことを念頭に置き、日本人の価値観や考え方を押し付けないようにする必要があります。国によって、私たちが自分のマインドセットを変えなければいけません。合わせてもらうのではなく、合わせることを忘れないでいただければと思います。
英語の勉強法については、まずは今の勉強法についてご紹介すると、毎日英語のドラマを観るようにしています。最近、ネットフリックスが倍速で見られるようになったので、それを活用しています。私の場合は、英語を勉強したいときは字幕なしで、翻訳の勉強をしたいときは字幕ありで見るようにしていますね。
あとは、オーディオブックも活用しています。これも倍速機能が使えるので、私はちょっと頑張るけど理解できるくらいの速度にして聞いています。
そしてインプットするのはもちろんですが、使えるようになるにはアウトプットすることを忘れてはいけません。
私は今、ベトナム語を勉強しているのですが、カフェに行ったり買い物に行ったりすると、出来る限り話しかけるようにしています。伝わらなかった表現は復習して、もう一度使う。そうやって、生きた言語を学んでいます。
最後に、英語が話せなかった学生時代の英語勉強法についてもご紹介します。当時は、英語を理解できるけど話すのは苦手という状態でした。
そこで、信頼できる人に英語で話して聞いてもらうということをしていました。無茶苦茶でもいいから話すことで、話せなかったことや伝わらなかったことを復習していました。
これは、全く知らない人でもいいと思います。自分がやりやすい相手で、恥をかいてもいいやと思える環境で練習することが大切です。相手から反応が返ってきたら、これで良かったんだと思えて自信につながりますよ。
こうやって、自分でアウトプットする機会を作るのが大切だと思います。皆さんのご活躍を応援しています!
編集後記
才色兼備なれいこさん。バイオ、保険、翻訳、そしてデザイナーと様々な仕事に挑戦してこられました。そして今、また新たな夢に向けて挑戦しようとされています。
キャリア構築の手法はバラバラに見えるかもしれませんが、そこには太く強い芯が通っていて、全てのキャリアが線でつながっています。
れいこさんが持つ本質を考え抜く力、本質を見抜く力、そして本質を伝える力が今後どう生かされていくのか。大きな夢に向けたこれからの挑戦も楽しみでなりません。
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