Web3 イベントレポート

シンガポールACE登壇レポート「日本のブロックチェーン/Web3スタートアップの動向」

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2022年6月24日(金) にシンガポールのスタートアップ支援団体ACE (https://ace.org.sg/) が開催のイベント「OneDotAce: Blockchain in Japan」に手島が登壇しました。

内容は「Blockchain in Japan」というテーマに沿って、日本のブロックチェーン/Web3スタートアップの動向についてとGAOGAO Web3 Labの活動で進めている自社プロダクトの紹介をしました。発表自体は英語で行われ、今回の記事ではその時の登壇内容を日本語で解説します。

私自身について簡単に紹介します。私はGAOGAOの共同創業者兼CEOです。私はIBMとLINEで7年間ソフトウェアエンジニアとして働いていました。その後、CTOとして旅行業界向けのスタートアップを立ち上げました。その時にバンコクに移住しました。2年運営した後、事業を売却して会社を閉じ、2018年にGAOGAOという2つ目のスタートアップを再スタートさせました。GAOGAOについては、次のスライドで説明します。2020年にシンガポールに移住し、現在はシンガポールに住んでいて、Tanjong PagarにあるコワーキングスペースOne&Coによく滞在しています。

私たちGAOGAOの主な事業は、スタートアップスタジオです。GAOGAOは、スタートアップ企業や大企業の新規事業におけるソフトウェア開発を支援します。私たちの強みは、グローバルであることと強力なエンジニアリングです。そして、特にアーリーステージのスタートアップ・新規事業に対するコンサルティングです。多くの起業家は、良いアイデアを持っていますが、それをどのように作れば良いのか分かりません。私たちは、MVPを作るような迅速な開発チームを提案しています。現在、GAOGAOでは、フリーランスを含め、グローバルで70名以上のエンジニアが働いています。

Web3については、今年に入ってから、大手企業からWeb3のコンサルティングを依頼されることが多くなりました。例えば、既存のサービスを持っていて、そのサービスにトークンエコノミクスを追加したい、などです。ブロックチェーンの技術的な観点からアドバイスをしています。また、Web3のコンサルティングや開発に加え、後述するDAO管理ツールGAOGAOの自社プロダクトもスタートしました。

日本におけるWeb3の動向を、3つの「人」の側面から説明します。

1つ目は、Web3のサービスを利用するユーザーです。最近、NFTの人気が出てきて、日本でもいくつかのジェネレーティブ・プロジェクトが成功しています。当社のメンバーもOepnSeaで非常に高価なNFTを購入しました。残念ながら、最近値段が下がってしまいましたが。また、Axie InfinityStepnは人気のあるWeb3アプリです。Web3という言葉もIT業界以外の多くの人に認知されつつあります。でも、DAOはまだ普及してないと思います。

2つ目のグループはweb3の起業家です。彼らにとっては、今、本当にホットな話題です。日本の若い起業家であるSota Watanabeさんが、PolkadotをベースにしたEthereum仮想マシン互換のブロックチェーンネットワーク「Aster」を作りました。Asterの評価額はかなり高く若い起業家のロールモデルになっています。日本の大学のいくつかの起業家サークルなどでもWeb3は人気が高く、AsterのようにIEOを目指してトークンを作る動きがあるという話も聞いています。DAOやトークンを作るWeb3のやり方は、現在の株式ベースの会社と比べてモダンでクールだと考えているようです。
しかし実際のところ日本では規制があるため、スタートアップの数はまだまだ少ない印象です。後ほど説明します。トレンドとしては、日本ではWeb3のVCやアクセラレータが増えてきています。シンガポールの方がVCは多いと思いますが、日本にも多く存在しています。シンガポールのVCの中には、Web3のスタートアップにトークンで投資するところも出てきています。

私が日本で知っているWeb3サービスの例をいくつか挙げてみました。
JPYCは、日本円でペッグされた安定したコインです。日本の法律では、安定したコインを発行するためには、同額の円の担保が必要です。米国で流行しているアルゴリズムベースの安定したコインは法律上認められていません。

FinancieはWeb3版のクラウドファンディングサービスです。BunzzはSolidityの開発者を支援するノーコードツールです。創業者は最近シンガポールで会社を設立しました。AkiverseはGameFiのサービス。PoLはブロックチェーンベース学習サービスです。Double Jumpはブロックチェーンを活用したゲーム開発会社です。もちろん、ここにリストした以外にも日本にはもっと多くのWeb3スタートアップが存在します。しかし、強い規制の下、スタートアップの数はまだ比較的少ない印象です。

日本のスタートアップには3つの大きな問題があります。
1つは法律の問題です。暗号の交換サービスを提供しようとすると、基本的にライセンスが必要です。その要件は非常に高いです。そのため日本でビジネスを始める新興企業にとっては、大きな障害になることは間違いありません。
2つ目は、税金の問題です。ご存じないかもしれませんが、日本では、企業が暗号を所有する場合、不換紙幣である日本円に交換せずに保有しているだけでも、毎年税金を納めなければなりません。つまり、VCもスタートアップと同様にトークンで投資することはできないのです(この辺は、随時改定はされておりますが)
3つ目については、少し違う側面です。Web3関連の情報やケーススタディは、明らかに英語圏のものが多い。そのため、日本のスタートアップがこの市場で成功するためには、英語のスキルが必須だと考えられます。また、これは国内におけるWeb3日本人技術者の不足にもつながります。

そのため、多くの日本のスタートアップ企業は、実際に他の国への移住を決意しています。おそらく日本からすると地理的な関係もあり、シンガポールが今のところベストな選択と考えられます。最近、シンガポールで多くのWeb3の起業家に多く会いました。シンガポールのスタートアップ企業にとって、Web3ビジネスを始めるには非常に良い環境にあると言えるでしょう。

DAOは分散型の自律的な組織です。この組織は通常、コード、つまりスマートコントラクトによって管理されています。ビットコインはDAOの一例と言えるでしょう。ビットコインの採掘者は、中央管理無しに、参加可能で、インセンティブを得て、人々を巻き込んだ価値を生み出すことができます。
DAOは、企業のようなあらゆる種類のコミュニティが、将来的に置き換わる可能性があることを示唆しています。政府でさえもDAOで管理できると言う過激な考え方も存在します。

これはDAOの一例であるUniswapは最も人気のあるDEXです。彼らはDAOのために独自のガバナンストークンを発行し、組織とコントリビューターを管理しています。UNIトークンを購入し保有すれば、保有するトークンの量に応じて、uniswap組織への投票を通じて意思決定に参加することができます。
PolygonやTerraなど、他の多くのWeb3/ブロックチェーン組織も、貢献者を巻き込むために同様のシステムを持っています。

これはDAOのグループです。日本でなくてすみません、これは世界市場の事例です。DAOは今後、あらゆる組織活動に取って代わる可能性があります。現在の企業と同じように、DAOにはすでに様々な種類があります。

例えば、投資型DAOは、投資という同じ目的を持ったDAOです。投資のための知識を得たい人がDAOに集まり、次の投資を決定し、お金を共有することができます。他にもコレクターズDAOというものもあり、これは高価なNFTを複数名の意思決定で購入します。ソーシャルDAOは、同じ趣味を持つ人が参加する前にお金を払ってトークンを取得する必要があるコミュニティです。

DAOは人気が出てきています。そのような背景もあり現在、GAOGAOのWeb3 LabではDAOに力を入れています。

DAOの管理ツールをGAOGAOは自社製品として開発しています。これは、前のスライドにあるDAO Operating Systemに分類されるサービスです。
Web3スタートアップがこのサービスを利用し、独自のガバナンストークンを簡単に発行することを目的としています。
また、資金調達やDAOの銀行口座の機能も特化しています。

このプラットフォームを通じて、あなた自身のDAOを作成することができ、いくつかのステップで資金を得るチャンスがあるかもしれません。

DAOは、DAOが管理する資金調達やDAO銀行口座などの財務管理機能を持つことができます。
また、他のDAO管理プラットフォームが持つような投票機能もあります。

今月から社内テスト版(α版)を開始。2022年7月よりパートナー企業との評価を開始します。

このようなサービスでもっと興味を持たれた方。ここでは、人気のツールをいくつか紹介します。Aragonは最も人気のあるサービスだ。APIとコマンドラインツールを通じて、DAOを管理するための非常に柔軟な方法を提供しています。

特にAragonに関しては、以前弊社のブログで発信している記事が参考になります。

・Web3サービス紹介:DAO作成ツール「Aragon」
https://gaogao.asia/2022/05/02/9198/

本日は日本におけるWeb3の動向について説明しました。このトレンドは今とてもホットですが、日本では規制がとても厳しいです。多くのスタートアップやVCがそのことに悩んでいて、最近ではシンガポールに移住が増えています。

もし逆に皆様がWeb3スタートアップとして日本市場に参入する場合、まず法律と税務を確認した方が良いでしょう。日本で新しい事業体を持つよりも、日本のローカル・パートナーとの協業が可能かもしれません。
また、DAOの話をしましたが、私たちのプロダクトFundaoを紹介したいと思いますので、もしご興味があれば、お気軽にご連絡ください。ありがとうございました。

最後に

以上Web3イベント登壇レポートです。

GAOAGOではWeb3・ブロックチェーン技術に強みを持つ研究・開発を行なっています。開発を相談・依頼したい企業様、開発に参加したいエンジニアの方、双方募集していますので、お気軽にお問い合わせください。

もっとGAOGAOを知りたい方は…

・実際のメンバーインタビュー集

・【GAOGAOって?】面談でよくいただく質問にお答えします!

・GAOGAO開発事例集

 

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