ブロックチェーンを活用したソーシャルメディアを開発する「ALIS」に新卒で入社し、その後フリーランスとして独立。技術書典での著作出版やUdemy講師など様々な発信をされる他、2022年には自らフロントエンドに特化した開発会社であるTypebaseを起業されている寺嶋祐稀さんにこれまでの経緯と、GAOGAOについてのお話を伺いました。
今後はAIの活用で更に開発者体験が向上する
ー「システム開発自体が好き」という寺嶋さんが、プログラムを書き始めた頃ってどんな感じだったんですか?
幼少期から、YouTubeやニコニコ動画、まとめサイトなどでインターネットのカルチャーに触れ、漠然とWEBサイトを作れるようになりたいと思い、大学では情報工学科を選びました。
入学前の春休みに、初めてHTMLとCSSの本を買って動かしてみたのですが…「こんなの難し過ぎて、できるようになるわけないだろ!」と思ったのをよく覚えています。
大学入学後、授業ではC言語やJavaを学習し、サークル等の課外活動や独学を中心に現在の基礎となるWEBサイト制作や動的なサーバーサイドの技術を身に付けて行きました。
画像:大学生時代、課外活動の勉強会・LTで話しているときの寺嶋さん
ー寺嶋さんでも最初はそう感じられるものなんですね(汗)ご自身でTypebaseを起業される際に、社内で固定的に使う技術スタックにTypeScript/React/Next.js/Prismaを選ばれていますが、この技術選定の理由について教えて下さい。
自分のキャリアの中で使って来た技術はJavaScriptが多く、徐々にTypeScriptの割合が増え移り変わって行きました。TypeScriptは導入しやすく、安全性の高いコードが書ける事に加え、これはPrismaにも言える事なのですが、補完機能が優秀で使いやすく開発者体験が良いんです。プログラムを書いていて楽しいのは、自分が意図しているものがそのままサッと書き上げられる時なのですが、TypeScriptやPrismaはそんな瞬間が実現されやすいので有り難く感じています。
ただ、今後はGitHub CopilotなどAIの活用により、言語を問わずそのような開発者体験が実現できるのではと予想しています。
GAOGAOは、技術に対して熱量があって自分と同じようなモチベーションを持っている人が多い
ーGAOGAOと出会ったきっかけは、「海外」というキーワードだったとか?
実はTwitterをはじめた当初から手島さん(GAOGAO共同創業者兼CEO)をフォローしていて、タイムラインでVue.jsやJavaScriptについての情報や、海外での働き方やフリーランスに関する発信を見ていました。
当時は東京に住んでいて、もうすこし落ち着いた環境でのんびり暮らしてみたくなったとき、海外で働けるGAOGAOに興味を持ち、特に東南アジア(タイ)での生活はどのようなものなのか、と気になっていて、自分から声をかけさせていただきました。
ALISを辞めてフリーランスとして独立したタイミングで、友人とタイ旅行に行く計画を経て、GAOGAOの共同創設者である水畑さん(GAOGAOもうひとりの共同創業者)と現地でお話を聞かせていただいたき、その後東京ハウス(※)にて手島さんともお会いし、当時たまたま募集中だったTechBowlでのNuxtのプロジェクト(後述)へ、そのまま参画することになりた。
結果的に、自分は海外移住…とまでは至りませんでした。今の自分としては落ち着いた雰囲気で生活していければ満足であり、それは日本でも達成出来る事に気づいて、現在は地元の石川に住んでいます。ここでの生活に飽きたら海外にも目を向けるかもしれません。
※東京ハウス:2021年までGAOGAOが運営していた東京・目黒のコリビングスペース。
ーGAOGAOなら時差の問題さえクリアできれば、国内外どこからでも参画できる案件も多いですもんね。では、実際のGAOGAOでのプロジェクトに入られて、いかがでしたか?
GAOGAOでのはじめての案件は「TechTrain」というNuxtを用いたプロジェクトでした。
自分はこれまでNuxtを使ったプロジェクトの経験があったため、比較的やりやすかったですが、ある程度開発されたプロジェクトに途中から入ってリファクタリングを行う経験はあまりなかったため、良い経験となりました。参画当初は手島さんのサポートがあり、キャッチアップのお手伝いをしていただけてありがたかったです。手島さんのQiitaの記事でも当時のリファクタについて少し触れられています。
TechTrain開発がワクワクする5つの理由 – Qiita
もう一件印象的だったのは、直近で参画していたAI CommunisというクライアントのNext.jsを用いたプロジェクトです。当初ほぼNext.jsの実務経験がない状態でしたが、自分としてはNext.jsに触れていきたい、というタイミングだったので、ありがたくジョインさせていただきました。Next.jsのセットアップから技術選定、設計やコンポーネントの実装などを担当していました。
その後は自分の工数との兼ね合いもあり、徐々にコードレビューにシフトしていきました。
時間がない中で、とはいえある程度コードの質を担保したいということでStorybookを用いたStoryshotsを採用したのは良い思い出です。
新しいプロジェクトでも、信頼できる人たちと一緒に仕事ができることは大きな心強さ
ー未経験技術や経験がサポート付きで得られる機会があるのは嬉しいですね!では、GAOGAOの案件に参画し続けるメリットは何かありますか?
実際に参画してみて、GAOGAOのメンバーには技術に対して熱量を持って、自分と同じようなモチベーションを持っている人が多いのは発見でした。GAOGAOの案件に参画する最大のメリットは、新しいプロジェクトでもそんなメンバー達と働ける可能性が高いことです。
完全に個人でフリーランスとして活動していると、新しいプロジェクトだと知り合いが誰もおらず、プロジェクトに馴染むまでに時間がかかることも多いと思います。
直近のAI Communisのプロジェクトでも初期には秀吉さん(中田廣遥・PM兼エンジニア)がPMとして参画していて、非常に安心感があったのをよく覚えています。
GAOGAOのメンバーの雰囲気とマッチするような人であれば、これは大きなメリットになると思います。
自分もすべてのGAOGAOのメンバーと顔見知りではないのですが、GAOGAOでは勉強会なども開催されており、顔を合わせやすい環境もありますし、今だとSlackの各メンバーの個人チャンネルで、彼らが最近考えていることや技術的な発信は結構見ています。
ー確かに最初からヒデヨシさんが居たら、安心感が違いますね…では、初めて一緒になったチームメンバーとのコミュニケーションで工夫されていることはありますか?
ありがたいことに、GAOGAOでの案件含めフリーランスになってから関わったメンバーやクライアントは信頼できる人ばかりで、自分が頑張ってコミュニケーションを改善したようなケースはないんです。
自分個人としては衝突を避けたがる傾向があるので、ゴリゴリぶつかり合って議論するよりは丁寧な言葉で落としどころを探っていくことが自分の好みですし、チャットなどテキストメッセージでの振る舞いでもそれを意識しています。
画像:寺嶋さんの技術以外の発信の一部
ー確かに、私も日々採用活動をしていて、GAOGAOはクライアントもエンジニアも厳選してお付き合いしているのを感じています!ところで、寺嶋さんは日常のことから技術的なことまで幅広く発信されていますが、そのモチベーションは何処から来ているのでしょうか?
昔から人に何かを伝えることが好きなんです。それに、自分自身の記録としても残して「この頃はこんなことを考えていたな」と振り返ったり、後で人に渡しやすい形にしておけるのが便利だと思っています。
技術書店での個人出版については、「経験としてやってみたかった」という理由が大きいのですが、矛盾のない内容を作って、ちゃんと動くサンプルプログラムを用意して…といったことに始まり、実際に書籍として出版するまでの流れが学べた事は収穫でした。
こういった経験を通してみても、GAOGAO代表の手島さんは一般的なエンジニアよりアウトプットが多く、それはとても大変で、凄いことなんだとわかります。他のエンジニアからしても、手島さんのような人物は非常にありがたい存在だと思います。
ー振り返ることで、自分自身の成長を感じられることもありそうですね!では、そんな寺嶋さんが憧れるエンジニアや、今後の目標はありますか?
やはり業界の最前線にいるようなエンジニアが自分には理解できないレベルのコーディングをしているのを目の当たりにするとモチベーションも高まりますし、そういう方の発言に自分も影響を受けていたりします。
それとはちょっと別の話ですが、すごく丁寧に書かれたコードを見るとやはり好感を持ちますし、自分も意図が伝わりやすく構造が明確に伝わるよう努めたいと感じます。今後もそういう方とお仕事ができれば嬉しいです。
筆者の感想
寺嶋さんの柔らかい口調と物腰の中にも、本当に自分に必要なこと、大切なことを誠実に選び取る強さを持っていらっしゃる印象を受けました。
Typebase起業の経緯が書かれた記事の中にも、
「自分が一緒にやりたいと思えるメンバーとゆっくりでも着実に成長し、あまり無理をせずにやっていく(中略)スタートアップでメンバーを集めまくって一気に圧倒的成長!というよりかは、ちょっとずつ信頼できるメンバーを友人・知人経由で集めていきたいなぁと思っています。」
とあり、この実直さがGAOGAOと寺嶋さんとの共通点で、寺嶋さんがGAOGAOでの開発現場においてもGAOGAOメンバーからの信頼を得ていることが頷けるインタビューでした。
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