“Web3″の流行と疑心暗鬼の市場
2021年の年明け1ヶ月に3万ドルを突破してから、2021年内は4万ドル6万ドル近辺で推移しました。このビットコイン価格に代表される仮想通貨の価格上昇を追い風に2019年-2020年と”クリプト冬の時代”とも言われた時期から一気に流行となったように感じます。
2021年1月5日の日経記事:
代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコイン価格が2万ドル突破からわずか2週間で3万ドルを突破した。急騰の背景には、機関投資家や事業会社の自己勘定投資など法人マネーの存在がある。大口マネーを動かす電子財布「ウォレット」の数は最高になった。
また、NFTの存在がさらに流行を後押ししたことが重要なトピックです。DappRadarのデータによると2021年は飛躍的に取引量が増えたことがデータでも示されているように、イノベーターの世界だったNFTがアーリーアダプターあたりにも浸透し始めたのではないでしょうか。さらに、投資銀行金融サービス会社Jefferiesは、2025年には約800億ドルまで成長するという見通しを立てており、さらなる成長がマーケット拡大が期待されています。
分散型アプリのデータを提供する「Dapp Radar」:
2020年の約1億ドルから2021年にNFT空間が生み出した取引量は約220億ドル(アート以外のNFTも含む)と飛躍的な伸びを見せた。
仮想通貨価格上昇とNFTマーケットの拡大を背景にブロックチェーン技術を応用したサービスの総称として”Web3”というワードが脚光を浴びるようになったと感じますが、Web3というワードの登場は2014年にEthereumの共同創設者のギャビン氏が定義したとされており、8年も前に既に登場しています。
2020年-2021年のコロナ渦を契機に”DX”というバズワードが登場したように、次の流行として”Web3”がスタートアップだけでなく大企業も強い関心を持ち始めたのではないでしょうか。Web3やクリプトを黎明期から立ち上げてきた関係者には流行という括りにされることの嫌悪感はあるとは思いますが、DXの流行で起こったような曖昧な理解のままに、使い勝手良く”Web3”が使われ新規事業や予算取りの主役になっていったことは否定できないと思います。
弊社GAOGAOの開発相談状況
弊社は技術習得の取り組みとして、社内で2018年秋頃にSolidityの勉強会を社内で行ったり、実際にクリプトのトレーディングツールを開発したり、ブロックチェーン領域の知見を蓄積してきました。
ただし、昨年2021年夏頃までブロックチェーン領域の事業での開発相談を頂くことはほとんどありませんでした。ところが、上記のような流行の変化があり、2021年夏頃から急に相談件数が増えました。全体の開発相談の2割前後になっております。
属性:アーリーステージのスタートアップ/日系上場企業/上場企業海外子会社
-新規事業の技術検証
-開発プロジェクト(NFTマーケットプレイス、Defi等)
-社内研修/セミナー登壇依頼/ブロックチェーン技術イベント
ただし、現状マネタイズまで見えるビジネスモデルを構築することは難易度が高く、MVPの開発に着手まで行った案件はほとんどありません。現状は技術的に可能かというよりは、リーガル面でのビジネス検証が必要なことが多く、技術検証と合わせてシンガポール/日本の弁護士と協業しリサーチし、リーガル面での現状の可否や今後の見通しを議論することも多くあります。弊社は開発会社ですので開発プロジェクトが始まらないと売上が立ちにくいのですが、現状はほとんどのプロジェクトが、マネタイズ、リーガルの問題がクリアできない理由でペンディングにならざる得ません。
今後どうすべきか
現状は教育、知識習得のような領域がマネタイズの中心となっており、実際にサービスとしてマネタイズできるアウトプットが必要と感じます。また、マネタイズ可能なビジネスをする上で整備されていない領域で事業を進めるので旧来のビジネスよりリーガル面の知識がより大切になってきます。海外ではグレーの世界でもホワイトにするようなマインドで切り込むカルチャーがありますが、①日本の会社として事業を営むのであればリーガル面のクリアは必須で、ホワイトの中でどう戦うかを模索する必要があります。あるいは②海外で立ち上げ規制緩和とともに日本に逆輸入する選択肢をとることも可能ですが、海外移住の上でグローバルチームの運営が必要にならざる得ないのでそこに大きなハードルもあります。
弊社の今後の取り組み
弊社では創業期からシンガポールを本社にして事業展開をしており、また既にグローバル人材が参画しており、その点本来ある程度難易度が高い、上記②の選択肢をとることが可能です。実際に弊社でもWeb3領域のプロトタイプ自社開発に取り組んでおり、現在リーガル面の検証を行っております。また、日本の自治体との取組むべき提案を既に実施しております。新潟県山古志村のNishikigoi NFTの事例に代表されるようにWeb3領域と自治体との相性は良いと感じております。一方で、補助金をあてにしたロードマップですと、アウトプットまで辿り着かず議論で終わることが目に見ております。自治体とのプロジェクトは自治体が抱えるデータや遊休資産を活用の提供はお願いするものの、民間の資金でビジネスが回る設計をすることが継続性、拡張性の面で必須となると思います。
企業様や自治体様で”Web3”領域の新規事業開発に取り組まれている際にプロダクト開発の知見が必要といったご相談がございましたら、開発着手する前にこちらのお問い合わせフォームよりお気軽に連絡ください💁♀️
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